「朝に弱い」といっても、中学校、高校くらいまでは、遅刻せずに何とか通うものです。それが一気に崩れてしまうのは、大学生になったときかもしれません。K子さんの場合もそうでした。それでも本人はたいして自覚がなく、留年だと聞き、将来を心配したおかあさんに付き添われ、しぶしぶと受診しました。
事情を聞くと、一年生のときは一時限目は無理でも、必修科目の場合は何とか二時限目には出ていたといいます。しかし、二年生の初めくらいからだんだん午後の授業しか出なくなり、しだいに学校を休みがちになったそうです。
理由を聞いてみると、別にないというのです。サークルやクラブには入っていませんが、クラスでできた友だちもいるし、たまに会えばおしゃべりをしたり、飲みに行ったりすることもあるそうです。
「初めのうちは、目覚まし時計が鳴ると、一応、目は覚ましていたんです。でも、とにかく起きるのがつらくて、まあいいやって、また寝てしまってたんです。大学に行きたくないわけじゃないんだけど、まあ今日はいいかつて…」
そのうち、だんだんと起きる時間が遅くなってしまい、午前中はいつも寝ているようになり、朝まで飲んだ翌日などは夕方まで眠るようになったそうです。午後まで寝ていれば当然、夜は元気で、喫茶店のアルバイトのあとは飲みに行ったり、自宅でビデオやDVDを観たりと、寝る時間が少しずつ遅くなっていったようです。
K子さんの場合、もともと朝が弱かったところに、さらに大学で時聞が自由になり、高校時代のようにどうしても起きなければならないというわけでもなく、まあいいやという甘えに勝てず、だんだんと寝坊をするようになっていったのでしょう。そのせいで、生活が不規則になり、一日のリズムが後ろへずれてしまったのです。もともと「朝に弱い」のに、夜遅くまで起きていれば、朝は眠いし、つらいのは当たり前です。それを、低血圧や夜型人間のせいだと思っている人も多いのです。K子さんも、少しは自覚をしたようで、一年留年しただけで無事卒業したと、あとで聞きました。
不規則な生活から体内時計が壊れ、「睡眠覚醒スケジュール隣室己という、朝起きて夜眠るという睡眠のリズムがおかしくなる病気になる人が増えていることはすでに述べました。さらに、この病気のこわいところは、単に、眠りのリスムが狂うというだけでなく、自律神経など体のさまざまな部分でバランスが崩れるということ、その治療法はとにかく朝起きることでしかないです。
「朝に弱い」といいながらも、何とか起きているうちはいいのですが、つらさに負けてつい起床時聞を遅らせていくと、体の時間のリズムも狂ってしまいます。
そのせいで、九時から五時という社会の時間の流れについていけず、結局、フリーターになったという人もいます。自分の人生ですから、それでもいいとは思いますが、朝起きられないというだけで、自らの人生の選択の幅を狭くするのはもったいない話です。
