ストレスが睡眠障害の原因の一つ
ストレスが睡眠障害の原因の一つ

技術が進歩した結果、生きるスピードがどんどん加速され、昔と比べて、一生のうちで積み上げるものの量がずっと多くなりました。そのせいで、急増したのがストレスです。受験戦争はどんどん低年齢化し、小学生のうちから毎日の塾通いが当たり前になっています。そのため、志望大学にやっと入ったと思ったら、くたくたに疲れてしまって、本当にやりたいことを見つけようという余力もありません。ようやく辿り着いた自由な時間ですが、サークル活動やコンパに参加したり、アルバイトで遊ぶお金を稼ぐ程度で、何となく4年間が過ぎていきます。

たとえば順調に大学を卒業し、希望の会社に入ったとします。学生時代とのギヤツプにふうふういいながら、やっと慣れたと思ったら、少しずつ責任が重くなってきます。それはそれでうれしいもので、はりきって仕事をやっているうちはいいのですが、昼夜を問わず情報は行き交い、気を抜くことも、ゆっくり食事をとることもできない状況に少しずつ疲れてきます。それでも、息を抜けば周りに追い越されてしまうので、のんびりするわけにはいきません。そして、だんだん体だけでなく心も疲れてくるのです。

まして、日本の会社社会では、出世や派閥など、人間関係においても複雑なことがたくさんあります。スピードを出し過ぎてオーバーヒlトしているうえに、過剰な気づかいもしなければならず、ストレスはたまる一方です。現代人は、精神的には、かなりハードな社会状況の中で生きているといえます。ストレスについては、あとでゆっくり説明しますが、ストレスをためたまま放っておくと、うつ病などの心の病を引き起こす原因となります。不眠などの症状を訴える人も少なくありません。

病気とまではいかなくても、頭を使い過ぎる職業の場合、眠りに影響が出てきます。一日中汗を流し、体が疲れ切っている日の夜はぐっすり眠れます。ところが逆に、頭を使い過ぎた日は、すぐには寝つけません。

脳というのは、自動車のアイドリング(エンジンをある回転数に保っておくもの)のようなもので、あまり熱くなり過ぎていると、夜になってスイッチを切ってもまだ余熱があって、眠りの状態にならないのです。そこで、なかなか寝つけないからと、ぼんやり遅くまでテレビを観ていたり、お酒を飲んだりしていると、就寝時間が遅くなってしまいます。

疲れているのに睡眠時間が少ないのですから、翌朝はつらいということになるのです。わたしたちの周囲を見渡してみると、たしかに眠りにくい社会環境になっているようです。たとえば、深夜の高速道路では、宅配便の大型トラックがものすごい勢いで走っています。翌日には送り先へ届いてしまうというシステムは、すっかりわたしたちの生活に定着しているようです。同様に、二十四時間営業のコンビニで、何不自由なくさまざまなものが手に入るのも、朝まで消えない繁華街のネオンに誘われて多くの人が夜の街に繰り出すのも、そうやって昼夜の区別のない社会基盤が完成されているからといえるでしょう。

これだけ世界が狭くなり、経済規模が拡大した社会においては、二十四時間昼夜の別なく経済活動を行なうのも、わたしはある程度やむをえないと思っています。そして、このような社会では、夜になったら眠り、朝になったら起きるというメカニズムを保つのは、難しい部分もあるでしょう。

昼夜のない社会になったのですから、「夜起きていたっていいじゃないか」という人もいるかもしれません。また、今は会社にフレックスタイム制なども導入され、多少朝に弱くても平気だという人もいるでしょう。

わたしは、とりたてて早起きをすすめる気持ちはありません。ただ、早く起きる方法というよりも、心地よく眠り、気持ちよく目覚めるにはどうしたらいいかを考えていきたいと思っています。そもそも快適な眠りを手に入れれば、目覚めも爽快になり、「朝に弱い」ことはなくなるのですから…。

子供のころ、遠足の日などに目覚まし時計が鳴る前から目が覚めてしまって、お弁当ができるのをわくわくして待った経験はありませんか。気持ちのいい目覚めというのは、睡眠時聞が多ければ得られるというものでもありません。「朝に弱い」本当の原因を見つけ、その克服法がわかれば、明日からすっきりと目が覚めるようになるはずです。