不眠症のつもりが実は「仮面うつ病」だった
不眠症のつもりが実は「仮面うつ病」だった

いつものようにふとんに入ったのに、いつまでたっても眠気が襲ってこない。眠ろうと思えば思うほど、どんどん眠りから遠ざかり、結局まんじりともしないで朝を迎える。そして、このままじゃ体がもたないと病院に行く。

あるいは、ある日突然、夜眠れなくなってしまい、明け方うとうとするだけで朝を迎える。これでは疲れがとれるはずもなく、朝の目覚めはよくないし、体もだるくなり、ついには体調もおかしくなって、医者に相談する。

これが、いわゆる「不眠症」です。原因はストレスに起因することが多いのですが、人によって本当にさまざまです。たとえば、異例のスピードで突然管理職に抜擢され、若手との狭間でどうしていいかわからず、そんなことが頭をもたげて…というように、具一体的な心配事を抱えている場合もあれば、本人にはまったく思いあたることがないというケースも少なくありません。ふっと星空を見たときに、「自分はなんて小さな存在なんだろう。この大宇宙に比べたら、限れるとか眠れないなんて小さなことだ」と思い、すっかりよくなったという人もいるくらいです。

一方、自分は不眠症じゃないかと相談にみえる方のうち、「なぜだか自分でもわからないんですけど、どうも寝つきが悪くて、朝方まで寝れないこともあるんです」というような人が、実は仮面うつ病というケースが多いのです。仮面うつ病は、精神的には本人に自覚がないのが特徴です。眠れないからと、わたしのクリニックを訪れる入の大半は、この仮面うつ病です。仮面うつ病の場合、眠れないと翌朝つらいから…と、お酒を飲んだり、睡眠薬を飲んだりしても、少しもよくなりません。数日間も眠れない日が続いたときは、不眠症ではなく、仮面うつ病を疑ってみるほうがよいでしょう。

専業主婦に多い、もう一つの不眠症

「夜なかなか寝つけなくて、不眠症じゃないか…」と相談にみえる方の中で、もう一つのグループは、専業主婦の方々です。この場合、実は昼間のあいている時間に眠っているから夜眠れないという人がほとんどなのです。子供も学校に通うようになり、便利な家電製品のおかげで家事の時間も短縮され、昼の時間に余裕ができた。そこでついうとうとしてしまい、夜眠れなくなるというパターンです。

毎日忙しくて睡眠時聞が足りないときでも、楽になったように感じることがあります。昼間少しでも仮眠をとるとたった一、二時間の昼寝で、疲れがすっかりとれてしまうこともあります。

けれども、こんな生活では、夜は熟睡できません。朝は体が重くて起きるのがひと苦労だと、悩んだ末に来院されるわけです。何日も心地よい眠りが得られず、精神的にも不安定な状態になっていますから、昼寝をやめたとたんに夜はぐっすり眠れるようになるかといえば、必ずしもそうではありません。今夜も眠れないんじゃないかと意識すれば、睡魔はどんどん遠ざかっていきます。

こういう場合は、昼間に軽いスポーツやヨガなどを始めてみるもよし、生活の中で緊張している時間とリラックスしている時間のめりはりをつけることも大切です。そうすれば、くつろぐべき時間には自然と眠りが訪れ、朝もすっきり目覚めるようになります。いずれにしろ、不眠症の場合は、眠るということを意識し過ぎないことです。一日二日限れなくたって死ぬわけじゃあるまいし、といった大きな気持ちになることが、実は大事なのです。